樋之口歯科クリニック 歯周病治療
歯周病は危険な病気です
「最近口臭が気になる……」
「歯みがきすると血が出る……」
「歯がグラグラしている……
このような症状が見られたら歯周病の可能性があります。
歯周病は痛みがなく進行するため、「沈黙の病気」といわれています。
気になる症状が出てから歯科医院へ行くケースがほとんどで、気づいたときにはひどく進行していた……ということが多いのです。
口臭や出血、歯のグラつきなどがあったら早めに歯科医院で診てもらいましょう。
そのまま放置し続けると、以下のような悪影響が出たり、歯が抜け落ちてしまったりするかもしれません……。
歯周病は、歯肉が腫れたり、出血したりするだけでなく、歯を支えている骨まで溶かしてしまう病気です。
この写真は、歯周病にかかっていることが分からず、放置してどんどん進行してしまい、最終的に抜歯(歯を抜くこと)になってしまった歯の写真です。
一気に何本も失ってしまうケースも少なくありません。
口の中だけじゃない!歯周病が与える悪影響
歯周病は、お口の中だけではなく、全身の病気とも大きく関わりがある事がわかっています。
肺炎 歯周病菌は血管を通って全身に巡ります |
心臓疾患 歯周病菌による炎症から血栓(血の固まり)ができやすくなります。血栓は動脈硬化を招き、筋梗塞や狭心症などを引き起こすことがあります。 |
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糖尿病 歯周病が糖尿病を引き起こすことがあります。また、糖尿病にかかっている状態で歯周病になると血糖コントロールが難しくなり、糖尿病が悪化するおそれもあります。 |
早産 歯周病にかかっている妊婦は、歯周病でない妊婦と比べて、早産や未熟児を出産する確率が7倍にもなるといわれています。 |
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誤嚥性肺炎 高齢者の死亡原因の一つである誤嚥性肺炎。食べ物を口に入れた際に、細菌が唾液や胃液とともに肺に流れ込むことで生じる肺炎です。口腔内のケアが行き届かずお口の中で細菌が繁殖していると、さらに肺炎の悪化のリスクは高まります。 |
歯周病の進行段階
歯周病は、急に歯がグラグラしたり、抜けてしまう訳ではなく、徐々に進行していく病気です。
その歯周病が進行していく状況を見ていきましょう。
段階 1 軽度歯周炎(歯周ポケットの深さ:2~3mm)
歯垢(細菌の塊)や歯石が溜まり、歯ぐきに炎症が起こります。歯ぐきが腫れ、歯みがきのときに出血が見られることがあります。
お口の中の写真で見ても、歯肉は薄いピンク色に見え、これと言って大きな変化は無いように見えます(写④)
レントゲン写真の赤い線は、歯を支えている骨がどこまであるかを示しています。
(レントゲン④)
赤い線が、歯のくびれのところにありますので、骨まで影響がないことが分かります。
段階 2 中度歯周炎(歯周ポケットの深さ:4~7mm)
歯の表面や根の部分に歯垢(細菌の塊)や歯石(歯垢が固まり、石のようになったもの)が付着し、炎症が進行した段階です。炎症が進行すると、歯肉の腫れや出血はもちろんのこと、膿が出たり、歯を支えている骨が溶け、歯にグラつきが出始めます。
お口の中の写真を見ると、段階①と比べ、歯肉がブヨブヨに腫れ上がっているのが分かります。
歯肉が薄いピンク色から、腫れて赤くなったように見えることもあります。(写⑤)
レントゲン写真では、歯を支えている骨が溶け、赤い線が歯の根っこの真ん中あたりまで下がっています。(レントゲン⑤)
段階 3 重度歯周炎(歯周ポケットの深さ:6~8mm)
歯垢(細菌の塊)や歯石(歯垢が固まり、石のようになったもの)がたまり続けると、歯の周りの組織に大きく影響が出始めます。
歯を支えている骨がかなり破壊され、歯は歯肉にただくっついているだけの状態になります。
支えを失った歯は、傷みで食べ物が噛めなくなったり、最終的に歯抜け落ちてしまいます。
お口の中の写真を見ると、歯が伸びているように見えます。
これは、歯を支える骨が破壊され、垂れ下がってしまった状態です。(写⑥)
レントゲン写真を見ると、骨が破壊されているため、赤い線が根っこの先にあるのが分かります。
歯周病の治療前・治療後
骨が著しく吸収してグラグラしている歯も、徹底的なホームケア(ご自身の歯ブラシ)で、歯周病の原因となる歯垢(細菌の塊)を除去して骨が再生され再び機能します。
★根っこの先まで溶けてしまった骨も…。
★徹底的なご自身のホームケア、治療によってここまで再生されます!
歯周病にかかってしまったら治らないのではなく、ご自身の努力により改善の方向に向かうことが期待できます!
当院の歯周病検査・治療
歯周病は自覚症状に乏しい病気です。そのため、みなさまから現状をおうかがいするとともにしっかり検査して進行度を知ることが大切です。
当院では治療前に以下の検査を行っています。
歯周病の検査
ポケット検査
歯と歯ぐきの間(歯周ポケット)の深さを調べることで、歯周病の進行度を把握します。
歯の動揺度の検査
歯のグラつきを見て、歯周病の進行度を調べます。
レントゲン検査
あごの骨の状態は肉眼では把握できません。レントゲンを使って充分に確認します。またレントゲンで炎症の程度も確認できます。
細菌検査(自費治療)
歯周病菌の中でも、特に病気を悪化させる5種類の菌が存在します。
その菌がお口の中に存在する場合、患者さんだけの努力ではなかなか良くならない場合が多いです。抗菌薬を使ったり、治療法を変える必要があるかどうかを確認して、お口の中をもっと良くするためにも、適応する方には細菌検査の実施をおすすめしています。
<検査方法>
唾液を少量採取させて頂き、歯周病の代表的な菌(レッドコンプレックス)がいないかを検査します。
P.g菌
この菌は、吸血鬼のように血液をエサにしています。
そして吸血鬼は日光が苦手のように、酸素が苦手です。
歯肉に炎症が起きたり、血が出るようになると、P.g菌は数百倍~数万倍まで数を増やし、歯周ポケットをどんどん深くしていきます。
4mm以上の歯周ポケットの中は酸素も少ないため、P.g菌はますます元気になり、数を増やして、歯周病を進行させます。
A.a菌
歯周組織や身体の免疫反応に必要な細胞を壊します。
「侵襲性歯周炎」と呼ばれる急速に進行するタイプの歯周病に罹患した方から多く検出される歯周病菌です。
症状としては、顎の骨を急速に破壊してしまったり、30歳までの若い年齢で発症すること、上下の前歯と6歳臼歯に特に進行することなどがあげられます。
T.f菌
歯周組織の破壊が強い部分や、歯周ポケットが深いところで多く見られ、T.f菌が存在するところでは、必ずP.g菌とT.d菌が検出されると言われています。
T.d菌
歯周ポケットの中にある歯垢に多く見られる歯周病菌です。
歯周組織を破壊するほか、免疫を抑えることで治療を妨げると考えられています。
治療後、T.d菌の割合が高い場合は再発の恐れがあるため、注意が必要です。
P.i菌
一般的で誰もが持っている菌と言われていますが、お口の中を不潔にすることで活性化して、歯周病を起こす原因になります。
思春期や妊娠期にもこの菌が増加し、歯周病や歯肉炎を起こしやすくします。
歯周病治療
歯周ポケット掻爬(そうは)術
軽度歯周炎の外科的処置。
歯肉に麻酔をして歯周ポケットの中の歯垢や歯石を除去します。
歯周ポケットの中の歯垢、歯石を除去することによって、炎症が抑えられ、より一層歯肉が引き締まります。
※必要な方のみ行います。
フラップ手術
治療しても良くならない歯、歯肉を切ってめくってみると、通常では器具が届かないところまで、大量の茶色い歯石がついています。(写⑦⑧)
これをしっかり除去し、また歯肉を戻し、縫合して治療を行います。
※必要な方のみ行います。
GTR/エムドゲイン
エムゲドインとは、エナメルマトリックスというブタの歯胚組織から抽出したタンパク質です。
これを歯周病治療に応用することで、歯が発生する時と同じ環境を作り出し、歯周組織を再生出来ると言われています。ご相談のうえ、適応する方のみに行っています。
予防すれば怖くありません!
当院では予防に力を入れています。
予防できれば辛い思いをせずに済むほか、身体的・金銭的に負担が少なくなるなど、いいことづくし!
現在お口の中で気になるところがない方でも、治療をしたばかりという方にも、一生自分の歯で食べられるように、一度予防について考えてみませんか?